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翻訳とWeb制作を基礎から分かりやすく学ぶ

To CAT or not to CAT—自分に合った翻訳方法模索中

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CATツールのことです。自分に合った翻訳方法を模索しています。CATツールの利点もあればその逆もある。使うべきか使わざるべきか。

ツールについては、『翻訳事典2017年度版』の「わたしの提言」で井口耕二さんが次のように仰っています。

どのようなツールにも功罪両面がありますが、罪の方は聞こえてこないものです。
・・・(中略)・・・
不適切なツールを導入すれば、翻訳者としての基礎が崩れてしまうこともあります。
・・・(中略)・・・
翻訳メモリーも実は要注意です。

私もCATツールを使います。将来的にクライアントに指定されていなくても使うことはあるかもしれません。意図は、指定用語の適用にMultiTermを使う、ツールでできる検査はツールにさせる、過去の訳文を検索して参考にするといったところです。過去の訳文をうまいこと流用しようというのではありません。実際に取説など以外では、100%マッチが全体の1~3%程度という流用率である分野や案件が多いこともエージェントでの経験から分かっています。そのような案件はほぼ全新規です。

用語集や過去の訳を検索して参考にすることは調査の効率アップにつながります。例えば、一度調べて適用した訳をまたゼロから調べ直すのは無駄です。一度調べた用語は自作の用語集に登録したり、その用語を使用した訳文を翻訳メモリとして蓄積しておきます。次に翻訳するときの参考にします。

ただし、その過去の訳や用語が適切か再度検討することを忘れてはいけないと考えています。過去使ったからといってそのまま安易に使うのではなく、本当に正しいのか、表現が古くなっていないかなど再考するのです。結果としてあまり効率的ではないかもしれませんが、そういうものと思って、とにかく考えるようにしています。

フリーランスになる前に、すでに悩んでしまいました

平日は会社員をしているため、翻訳は朝晩と週末しかできません。自分に課題を課すようにしています。適当な課題や記事を見つけて朝晩各1本は訳すといった具合です。時間の確保が困難な日もあります。そんな時はとにかく早く進めようと考えてしまい、気が付いたら事前に原稿に目を通して全体像を把握すことも、下調べをすることもなく、すぐに手を付けるようになってしまいます。もちろん内容を理解しないままで翻訳すれば一次訳の品質が著しく低く、結局工数が無駄にかかってしまうと感じるようになりました。

「能力もまだ足りないくせに、惰性で翻訳していたらだめだ。とにかく考えないと。向上しなければいずれ消えてなくなる。向上する気がなければ、今すぐやめるべきだ」と反省し、仕事に向かう姿勢から作業方法まで見直すことにしました。姿勢については、まず原稿に目を通す、背景知識を身に付けるため下調べをするなど、当たり前のことを行うようにしました。

CATツールは便利だけど問題もある

CATツールの使い方も考え直すべきと感じました。便利な点はもちろんありますが、問題点もあります。ただ、現在自分に課している記事などは流用率が低いため、一般的に問題視されているパッチワークのような害はないと考えます。しかし、CATツール特有の「分節」が質の高い訳文を作る妨げになります。

CATツールを使うにはまず分節規則を設定し、その規則に従い原文をユニットに分割して翻訳作業を進めることになります。たいていは句点で区切られますので、1文が1分節となります。これにより、訳漏れは防ぎやすくなります。しかし、文脈を把握して翻訳することが困難になると考えられます。

画面上で前後の文は見えますが、単に分節が並んで表示されているだけです。段落などの塊を認識して前後の文も含めたコンテキストを考えて翻訳することが困難になります。そのため、原稿ファイルを同時に開いてレイアウトを見ながら翻訳するのですが、やはり翻訳する画面では1文単位で表示されるため、訳していてもいまいちピンとこないのです。

自分に合った翻訳の方法を模索

「CATツールを使わない」という選択肢もあるのですが、「うまく使う」という選択肢もあります。どうすればよいのか、それはまだ分かっていません。自分に合った翻訳の方法を考えることにしましたが、CATツールを立ち上げながら、かなりアナログな感じの訳し方から始めました。というか、まずアナログっぽいところから始めて、どう改善できるか考えようとしています。

では、どのようにしているかというと、基本はCATツール中心で作業を進めます。ただし、テキストエディタを立ち上げ、原稿から1段落をコピーしてエディタにペーストし、そこで思うがままに翻訳を進めます。まずは任意の箇所で改行します。文、節、句など必要に応じて細分化していきます。基本は文か節ですが、分かりにくい場合は意味チャンクまで分けるといった感じです。

テキストエディタには段落をペーストしているので、その中でつながりのよい、通りの良い訳文を作るよう考えます。例えば、英語原文に接続詞がなくても、日本語に訳した場合には補うべき場合もあります。CATツールの画面上で文節単位だけで見ていては対応しにくいところと思われます。

テキストエディタ上でできた訳文を分節単位でCATツールにペーストします。なんだかCATツールを使っている意味ないと言われそうですが、これから改善していきます。まずはツールに使われるのではなく、うまく使えるようになるまであがこうと思っています。

最後に出力して原文ファイルとのクロスチェック、また訳文ファイルを通して読むなどします。この段階で違いが大きく出ることが分かります。分節単位でとにかく翻訳しようと進めたものは、下手をすると全部書き換えるような段落も出て来ます。しかし、もともと段落を意識して翻訳したものは、修正量が明らかに減ります。

翻訳力も効率化も少しずつ前に進む

『翻訳事典2017年度版』の「わたしの提言」で井口耕二さんは次のようにも仰っています。

まずは実力の養成に突き進みましょう。
・・・(中略)・・・
ネズミが金棒を持っても意味がありません。

金棒については営業力などをたとえとして書かれていましたが、営業力にしろツールにしろ、結局は実力があって初めて生きるものと理解しました。まずは実力を養成し、その中で効率化のため、また品質確保のために使えるものは導入していく、そう考えることが大切ですね。


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