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過去納品されたひどい翻訳の背景を考えてみた(2)

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前回過去納品されたひどい翻訳の背景を考えてみた(1)で書いた通り、翻訳会社に登録されている翻訳者さんからなぜ理解不能なほどひどい翻訳が納品されたのか、英日翻訳を想定して考えてみたいと思います。

トライアルに合格して翻訳会社に登録された翻訳者さんたち、私などよりはるかに高いところにいらっしゃると思います。それにもかかわらず、信じられない訳文を納品してくる方がまれにではあってもいらっしゃいます。私よりはるかに実力をおもちのはずなのに、信じられないのです。

トライアル、合格するのは容易いことではありません。原文を理解できていても、日本語としての仕上がりが悪ければ不合格です。日本語としてきれいにできているように見えても、原文から意図がずれていたり勝手な解釈をしていては不合格です。トライアルの仕様、スタイル、また専門用語が適切に使われているかも当然評価対象でしょう。

ちなみにトライアルについては『トライアル現場主義!―売れる翻訳者へのショートカット』が参考になります。

そんな厳しいトライアルで実力を認められたはずの翻訳者さんからの納品でも、訳文が日本語の体をなしておらず、読んでまったく理解できないしろものということがあります。また、資料も見ず、調査もせず、辞書に載っている訳語を安易に使ったことが明らかな場合もあります。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

短納期が原因でしょうか。

時間が限られているからといって訳出スピードは上がりません。でも納期は決まっています。向こうから迫ってきます。

どうするか。どこかで手を抜くか、何らかの作業工程を削るしかないでしょう。そんなことはしたくないのは皆さん同じはずです。では、どこで手を抜くか、あるいは何を削るのか?

低単価が原因でしょうか?

「この金額では品質確保できないと伝えたけど、品質はそこそこでいいと言われた」と受けてしまうこともあるかもしれません。安いということは、かけられる時間も当然限られてくるわけです。その結果、短納期の場合と同様、どこかで手を抜くか、何らかの作業工程を削るかという話になります。

どこで手を抜く? 何を削る?

ここで翻訳作業自体の手を抜くと答える翻訳者さんはいらっしゃらないと思います。そんな方法はないと思います。少なくとも私はそんな方法は知りません。(実力がなく、訳文のレベルが低いことと手を抜くことは違うので・・・)

恐らく最後の確認工程がその対象となるでしょう。いつも3回見直しをしている場合は2回にする、2回の場合は1回にするというようにです。

しかしです、確認で手を抜いても、時間や回数を削っても、訳文の質自体は多くの場合翻訳の段階である程度決まっていると思われます。つまり、確認作業の削減は意味不明な訳文の説明にはならないと思われます。

専門外だったことが原因でしょうか?

会計年度の変わり目や長期休業の前後など、翻訳業務が集中して発生するタイミングはあります。いつもは登録された専門分野の翻訳者さんや決まった翻訳者さんに依頼をしている翻訳会社も、リソースが確保できず、専門分野ではない翻訳者さんに依頼することも考えられます。

とはいえ、特定の分野でもトライアルに合格しているということは、原文を理解する実力もあり、日本語で表現する実力もあるはずです。専門用語が不適切ということはあっても、やはり意味不明な訳文が生まれた説明になるとは思えません。

経験の浅く仕事の入っていない翻訳者さんだったことが原因でしょうか?

ソースクライアントから買い叩かれた結果、翻訳会社への発注単価が異常に低くなると、翻訳者さんへは超低単価となってしまいます。となると意識の高い個人事業主である賢明な翻訳者さんは断るでしょう。となると次に候補に挙がるのは経験が浅く、比較的低単価で登録されている方かと思われます。

ただ、経験が浅い場合、翻訳会社の登録数が少ないことも考えられ、品質が悪く仕事をもらえなくなることは死活問題となります。そうなると1社1社への対応が丁寧になるとも考えられます。

また経験が浅いとはいえトライアルに合格されているはずです。やはり意味不明な訳文が生まれた説明になるとは思えません。

もしかしてクラウドソーシングや学生さんを使った?

考えたくはありませんが、ありえなくはありません。

個人事業主であるフリーランスの翻訳者さんを確保できないとなれば、次の候補はクラウドソーシングになると考えられます。大手の翻訳会社さんの中にはクラウドソーシングを運営されているところもあります。

そうなると、出来上がる翻訳の品質は運次第です。クラウドソーシングとはいえ、実力を持っている方もいらっしゃるでしょうし、英語を話すことができるという程度の全くの素人が登録していることもあります。誰が受注するかは早い者勝ちだったりします。

では翻訳会社はどうしていたのだろう?

仮にクラウドソーシングを使っていた場合、品質をどのように担保するのかという点が問題になります。品質以外にもクラウドソーシングは情報が外部にダダ漏れになる危険性があります。発注者と受注者である翻訳会社が守秘義務契約を交わしている場合、信用問題になることが考えられます。

どのようなルートでどのような翻訳者さんに依頼するかも問題ですが、翻訳会社が品質管理を怠っていることも問題です。翻訳品質は翻訳者さんでほぼ決まりますが、発注者に品質を保証するのは翻訳会社の責任でもあります。

結局、私の遭遇した驚くべき低品質の翻訳が生まれた要因は分かりませんが、翻訳会社が品質管理を怠ったことだけは間違いありません。でもやはり一番気になるのは翻訳をしたのはどのような翻訳者さんで、その翻訳者さんはどのような意識でどのように翻訳をしたのかということです。また、その翻訳会社はその翻訳者さんに仕事を出し続けているのか、ということです。

さいごに

私自身は、先日もトライアルを受けた際、得意な分野ではない中(得意分野と呼べるものがあるのかどうか自分でも疑問ですが)できる限り調査し、訳文を検討したつもりで、それでも不合格となるレベルであり、偉そうなことを言える立場ではないかもしれません。

それでも指示内容を守り、また訳文を読み直して意味が通じないようなところがないかくらいは確認するなどしているつもりです。その程度の努力もしない方がトライアルに合格し、お金をもらって仕事も受け、適当なものを納品しているとしたら信じられません。そんな翻訳者さんには自分だったら決して、二度と依頼などしないでしょう。

自分はそんなことを言われることのないよう、気を引き締めて翻訳しなければいけないなと思う次第です。


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