Com2 Blog

翻訳とWeb制作を基礎から分かりやすく学ぶ

「そこをなんとか」を訳すと「おれさまのためにお前の血を流せ」

shed-your-blood

「そこをなんとか!」言い方はいろいろあります。「予算がないので(なんとかしてください)」「納期が厳しいので(なんとかしてください)」。日本の社会ではよく聞かれ、まかり通っていることと思われます。でもその言葉の持つ意味は残酷なのです。

「予算がないので、もう少し何とかなりませんか?」

この言葉を聞いて単なる日常的な依頼の言葉と思う人がいるかもしれません。ところがこれは大問題です。実際にどのようなことが含意されているのか考えてみるとよいでしょう。和文和訳してみましょう。

「金はかけられないんだよ。おれたちが利益を出せるようにお前の血を流せ。お前らが利益を上げようなんざ生意気なんだよ」

どうでしょう。もちろん、「予算がない」とおっしゃる方はそんなこと考えていないと反論されると思います。実際そんなことは考えていないでしょう。しかし、予算がないと言って買い叩くということはそういうことなんです。発言者が思っていなくても、悪気がなくても、結局そういうことになってしまうんです。

買い叩くということはどういうことか、もう少し考えてみます。

モノを作るには決められた予算があります。何にいくら費用をかけられるかも決まっています。

余裕のある予算を組む会社はないでしょう。しかし、例えばモノつくりに関連する翻訳に妥当な金額も払えないような予算だとしたら、考えられるのは(1)どのくらいが妥当か知らない、(2)その仕事(翻訳)を侮っている、(3)どうせ下請けなんだから言い値で受けるだろうと踏んでいる、などが考えられるでしょうか。

いずれにしても、「安くやってよ」というのは、「おたくの利益を削って、おれの利益を確保しろよ、おれの評価を守れよ」ということにしかなりません。

「予算がないから、おれの給料を削っても皆さんには妥当な対価をお支払いしますよ」という発注者を見たことがありません。

 

「日程が厳しいので何とかなりませんか」「お尻(納期)はずらせません」

この言葉も同じです。

「このくらいの期間しかないけど、残業してでも、休日働いてでも、なんでもいいから仕上げてよ。労働基準法? 何言ってんの? おまえの権利も体もおれの知ったことか」

先ほどと同じになりますが、もちろんそんな風には思ってもいないでしょう。しかし、短い期間で対応するには、どこかで時間を確保するか犠牲にするしかありません。考えれば、また言われれば分かることかもしれませんが、依頼者というのは概して依頼される側のことをあまり考えないものです。思っていなくても、悪気がなくても、結局そういうことになってしまうんです。

「日程は厳しいけど、おれが残業して頑張って皆さんの日程を確保しますから、協力していただけませんか」という発注者を見たことがありません。

 

「そこをなんとか」

この言葉を単に依頼の言葉と思って使っている人もいるかもしれません。しかし、少し分かりやすく言うと「あなたの都合もいろいろあるでしょうけれど、そんなことより私の都合を考えて、こちらの望み通りに対応してください」ということです。失礼だと思いませんか。

「予算がないので」「日程が厳しいので」というのも依頼者の都合です。その都合を押し付けて、「あなたのことは知ったことではないが、いいからやってくれ」というのは失礼ですよね。

このような依頼に対しては、できれば「その条件だと私も生活できませんのでお受けできません」「その日程では他の仕事を止めなければなりませんし、寝る時間もとれませんし、そうなると品質も保証できなくなりますのでお受けできません」などお伝えするべきでしょう。

なかなか言いづらいところではあるので、実際には「他のお仕事がいっぱいでお受けできかねます」「○○日(かなり余裕のある納期)までいただければできるのですが」など、やんわりお断りすることが多いかもしれませんね。


コメント

コメントを残す