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翻訳とWeb制作を基礎から分かりやすく学ぶ

翻訳品質は翻訳会社ではなく翻訳者で決まる

quality

翻訳品質はどこで決まるのでしょうか。翻訳品質を管理している翻訳会社でしょうか。私の経験上、翻訳者がすべてということが多いと感じています。(断り:意識が高く、品質管理が徹底されているすばらしい翻訳会社も存在することを先に述べておきます。)

翻訳という仕事の流れには必ずソースクライアントと翻訳者がいます。(当たり前ですね。)その間に翻訳会社があったり、場合によってはソースクライアントと翻訳会社の間にもう1社中間業者が入ることもあります。下記のような具合です。

ソースクライアント ⇔ 翻訳会社(発注側) ⇔ 翻訳会社(受注側) ⇔ 翻訳者

翻訳品質を決定づけるのはどこ(誰)でしょうか。

翻訳会社(発注側)にいると、翻訳会社(受注側)からの納品物を見て「あれ? 訳文酷くない?」と思うことがあります。同じ翻訳会社に依頼しても品質がよいときもあれば悪いときもあります。必ずしも翻訳会社によって翻訳の良し悪しが決まるわけではありません。例えば大手の有名翻訳会社だから品質管理体制が整っていて安心とか、そんなことはまずないと思います。少なくとも私の経験上ありません。

ソースクライアントの原稿の質、翻訳会社(発注側)からの指示が明確か否か、参考資料の有無や質など、指示側に原因がある場合はあります。しかし、原文理解が足りない、一般的に知られている定訳が使用されていない、訳文を読み直していない、など基本が疎かにされていることが明白な場合もあります。

翻訳会社でのリソース管理や品質管理はどうなっているのだろうか、と思うこともあります。案件ごとの品質に大きなばらつきが見られるのです。日英も英日もどちらでも状況は同じです。場合によっては商品価値のあるレベルのものと商品価値のないレベルのものほどの違いがあります。

ではなぜこのようなことが起こるのでしょうか。翻訳会社(発注側)*勤務という限られた経験の範囲ではありますが原因を考えてみたいと思います。
*私の勤めている会社では翻訳を扱っていますが、翻訳に特化した会社ではありません。そのため翻訳会社の内部事情を知らない人間の書くざれごとと思って読み進めてください。

単価の低下と中間マージンによる相乗効果

ここ数年来翻訳の価格(単価)は下がり続けています。恐らくこれ以上は下がらないと思われます。(機械翻訳や、ソークラに見えない苦労が多く割に合わないMTPEが主流にならない限り。)

さらにクライアントと翻訳者の間に翻訳会社が入るのです。今回の例では2社が中間に入ります。このことにより、お金に関して次のようなことが起こります。あえて示す必要もないことかもしれませんが。

ソースクライアントの支払う単価 - 翻訳会社(発注側)の利益 - 翻訳会社(受注側)の利益 = 翻訳者に支払われる単価

ただでさえ単価が下がっているのに中間マージンが二重にかかるわけです。翻訳会社(発注側)は自分たちの取り分を引いて仕事を流すだけです。当然のこととして翻訳会社(受注側)としては高い翻訳者を充てることはできません。安くてもやってくれる人。これが納品される翻訳の品質が低い要因の一つではないかと考えられます。

そう、翻訳会社(受注側)が全面的に悪いわけではありません。単価を下げているソースクライアント、またその単価で仕事を請け負った翻訳会社(発注側)にも大いに責任はあります。とはいえ、仕事を請け負った以上、著しく品質の低い成果物を納品することは翻訳会社(受注側)として望ましいこととは考えられません。

ソースクライアントとの直接取引ではないから手を抜いた(想像の話)

「翻訳会社(受注側)がソースクライアントから直接受注した場合でも、こんな品質で納品するのだろうか?」納品に耐えられない翻訳が納品された時いつも思うことです。翻訳を専門としている会社が訳文として意味を成さないほどひどい成果物を納品するとは思えません。プライドだってあるでしょうし、信用問題にもなります。(すべて想像です。)

しかし、ソースクライアントとの間に別の会社が入れば、自分たちの社名は陰に隠れます。矢面に立っている会社がチェックするだろう、という気持ちがあるのかもしれません。そうなると安い案件はとりあえず翻訳して納品すれば後は勝手にうまいことやってくれるだろうと考えることもあるのではないでしょうか。(すべて想像です。)

すべては翻訳者次第

結局のところすべて想像でしかなく、酷い品質の翻訳が納品される本当の原因は分かりません。でもはっきり言えることがあります。「実力のある翻訳者に当たれば品質に大きな問題は発生しない」ということです。すべて翻訳者次第なのです。

同じ翻訳会社の仕事でも品質にばらつきがあるということは、品質については翻訳者の力量に依存していると考えるしかないでしょう。翻訳会社はただ翻訳者に仕事を出して、納品された訳文を一応チェックして依頼元に納品する、それだけだと思います。もちろん全ての翻訳会社がそうだとは思いませんが、信じられない訳文が納品されることも事実としてあるのです。

しかし、単価が低ければ経験と実力のある翻訳者に依頼することは難しいでしょう。良いものは高い、翻訳も同じです。安くても受けてくれるにはそれなりの理由があるはずです。「安いからと断ったら仕事をもらえなくなる」と思っている駆け出しの翻訳者であったり、翻訳会社で登録している中で実力が一番低いランクの翻訳者などでしょうか。(私も人のことをどうこう言える立場ではないかも・・・)

駆け出しの翻訳者でも実力のある人はいます。そもそも翻訳会社がリソース管理をしていれば、実力のない人には仕事を出さないのではないでしょうか。翻訳者として生きていくことを目指す私が今まで聞いた話では、実力がなければトライアルに受からない、また仮に受かったとしても品質が低ければ依頼が来なくなる、そのはずです。

品質が低い、安定しないというような問題が発生し続けるということは、品質管理やリソース管理のできていない翻訳会社があるということを意味しているのではないかと考えられます。

もし翻訳会社で品質管理もリソースも管理できていないのであれば、品質の高い成果物を得るのは、実力のある翻訳者に当たることを祈るほかない、つまり運次第ということになるのではないでしょうか。

ISO17100認証を受ける翻訳会社が増えればこのようなことはなくなるのでしょうか。翻訳品質はやはり翻訳者の作る訳文次第と思っているので、ISO17100では根本的な訳文品質は変わらないと考えていますが、工程管理によって品質管理が徹底されれば、あまりに酷い訳文はなくなるのかもしれません。それなりに品質の低い訳文がなくなることはないでしょうけれど。

私個人としては、品質の高い翻訳をできるよう精進するのみです。一方的に翻訳会社の品質管理だけに依存するようではそもそも仕事を依頼してもらえないはずです。

そのほか、翻訳会社と翻訳者お互いが意識を高く持ち、よい関係を築いていくことも大切と考えます。

と、この程度の文しか書けない自分が翻訳会社から依頼を頂ける翻訳者になれるか不安も持ちつつ、また翻訳会社批判をしていると誤解されなければよいなと思いながら、筆(キーボードとマウス?)を置きたいと思います。


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