QA Checker 3.0では、正規表現を使った検査パターンを作ることができます。今日は日英と英日翻訳での句点の検査についてご紹介します。翻訳の品質において致命的ではなかったり、またあまり起こらないエラーかもしれませんが、正規表現での検査を学習する足がかりにしてみてください。
SDL Trados Studio 2014、QA Checker3.0について説明しますが、以前のバージョンのQA Checkerでも同様に使うことができます。
Contents
1. QA Checker 3.0を使った句読点の検証について
QA Checker 3.0の句読点の検証機能では、原文と訳文で句点が同じように使われているか検証することはできますが、英語の「.」と日本語の「。」のように句点が異なる場合には使えません。
SDL Trados 2007のQA Checker 2.0で「Include Asian punctuation characters in check」というチェックボックスがありましたが、いつの間にかなくなってしまったようです。この機能がどのように、どこまで使えるものだったか、今では確認することもできませんが。
そこで、正規表現を使って検査することにします。
2. 検査パターン作成手順
まずは検査パターン作成の手順を説明します。
- [ファイル]-[オプション]でオプションダイアログボックスを開きます。
- [検証]-[QA Checker 3.0]-[句読点]を開き、「終了規則」の「原文と訳文の末尾にある句点の対応をチェックする」チェックボックスのチェックを外します。
- [正規表現]を開き、「正規表現を検索する」チェックボックスをチェックします。
- 「エラー」「警告」「注意」からレベルを任意で指定します。「警告」くらいでよいでしょう。
- 「説明」、「原文の正規表現」、「訳文の正規表現」を入力し、「条件」を選択します。
- [アクション]ボタンでドロップダウンメニューを表示し、[アイテムの追加]をクリックします。
これで正規表現の検査を追加できます。問題は5番にある検査の内容をどのように入力するかです。
3. 英日の場合の正規表現パターン作成
さて、では正規表現を追加しましょう。以下の通りに設定するだけです。「。」の他に疑問符と感嘆符もご紹介しますが、日本語では基本的に使わない方がよいとされています。検査項目としても不要かもしれません。
「説明」の欄には任意で分かりやすい名前をつけます。
(1) Full Stop
- 「説明」
- Check Japanese Full Stop
- 「原文正規表現」
- [\.]+$
- 「訳文正規表現」
- [。]+$
- 「条件」
- 原文は一致するが訳文は一致しない場合に報告する
(2) Question Mark
- 「説明」
- Check Japanese interrogative
- 「原文正規表現」
- [\?]+$
- 「訳文正規表現」
- [?]+$
- 「条件」
- 原文は一致するが訳文は一致しない場合に報告する
(3) Exclamation Mark
- 「説明」
- Check Japanese Exclamation Mark
- 「原文正規表現」
- [!]+$
- 「訳文正規表現」
- [!]+$
- 「条件」
- 原文は一致するが訳文は一致しない場合に報告する
4. 日英の場合は
上記原文と訳文のパターンを入れ替え、「説明」も任意で書き換えてください。
5. まとめ
このように、QA Checker 3.0の機能で足りないものについては、正規表現を使うことで自分の望み通りの検査を追加することができます。
ご紹介した句点の検査は基本的な例にすぎません。これを発展させることでさらに高度な検査を追加できます。例えば「コンピューター」と「コンピュータ」のような音引きのユレを検査することなども可能です。
ツールに使われるのではなく、うまく使いこなし、効率的に仕事を進めるのに役立てましょう。
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