会社員をしていて日々思うこと。頑張ったことは目立たず、失敗は大きく取り上げられ、やる気が低下していく。そんなことから、翻訳者へのポジティブなフィードバックって必要だなとつくづく感じています。
日常の風景から
どちらかというと真面目な方であると自己分析します。世渡りは決して上手ではありません。ごく一部の人からは信頼されます。話したり付き合ったりすると、面白味がないというマイナス面があることは否めません。
ただ真面目に仕事をしていても評価されません。逆に、そうでない人が評価されることもあります。ただ真面目なだけの自分だからこそ(あまり自分で言うなっ)感じることがあるのです。
- Aさん
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- 朝から晩まで8時間、休まず集中して仕事をする。
- 目の前にある仕事を快く受ける。
- 効率を考えている。
- 「忙しい」と口にしない。自己アピールもしない。
- 人は人と思っているので、周りに干渉しない。
- 質問には快く応える。
- 定時に帰る。
- 売り上げに貢献している。
- Bさん
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- 朝からおしゃべり。仕事中もよく雑談する。
- ときに大声で笑う。ときに馬鹿笑い。
- ひとしきり文句を言ってから仕事を受ける。
- 忙しさをアピールする。(忙しくなくても)
- ヒマそうにしている人には説教する。
- 他人のことをこけ下ろす。
- 定時過ぎても帰らない。
- 特段売り上げに貢献しているわけではない。
この場合、私はAさんを評価したいと考えます。問題があるとすれば、自己アピールが足りないことでしょうか。Bさんは評価しかねます。仕事に向かう姿勢、周囲への影響を考えても態度を改めるべきです。しかし、実際のところ、Aさんは評価されず、Bさんが評価されることもあります。
自己アピールすることがいけないと言っているのではありません。自分の努力やそれにより得られた結果を評価してもらうためには必要かもしれません。ただ、正当でないアピールほど煩わしいものはありません。非常に日本人的な私は、正当なものであっても「頑張っています」アピールが苦手だったりしますが。
失敗は目立つ
人間は失敗するものです。リスクを予見し、事前に対策を講じることは大切ですが、それでも100%失敗を防ぐことは困難です。そう、誰であっても時として失敗してしまうのです。そして失敗はとても目立ちます。
失敗は上司に報告する義務もあるため、目立つのは当然と言えば当然です。ところが、日頃の努力や貢献はそうではありません。例えば、新しい顧客と取引を成立させた場合などは、上司に報告する義務があるでしょう。しかし、「素晴らしい勤務態度で取り組んでいます」などということに報告義務はありません。
失敗をすれば、その重大さに応じて報告書を求められることもあります。同じ失敗を繰り返さないためにも、原因を明らかにして、対策を講じることは必要なのですが、これが結構つらいのです。労力もかかります。仕方ないことは分かっていますが、やはりつらいものです。
しかし、素晴らしい勤務態度であっても、努力を怠らなくても、売り上げに貢献していても、何ら見返りはありません。よほどのことがない限り、それは当たり前のこととして捉えられるのです。もちろん、給料をもらうためには当たり前ですが、先述のAさんとBさんが同じ評価でよいのか、と疑問に思います。
翻訳者も同じでは?
翻訳のチェックをし、問題があればフィードバックすることはよくあると思います。翻訳があまりにひどく、二度と依頼しないとなれば何もしないかもしれませんが、継続して依頼する見込みがあれば、品質アップのためにもよくなかった点や修正結果などを戻すことはあります。
失敗について指摘して次につなげることはもちろん大切ですが、良かった点も伝えるべきです。何が悪かったのか伝えることで、同じ失敗を繰り返さないようにできるほか、依頼者の意向を伝える意味もあります。また、良かった点を伝えることで、自分の翻訳がニーズに見合っていたことが分かり、次も同様に良い品質で納品できます。
一番大きいのは、ポジティブなフィードバックをもらうとやる気が出ることです。
先日、11月26日に開催されたJTF翻訳祭の「曲がり角を抜けて、ベテランへ」でも、会場から「ポジティブなフィードバックは10年に3回ほど」(数字に誤りがあるかもしれません)というような声がありました。それだけ少ないのです。エージェントにいる間、間違いや失敗だけでなく、是非とも、良い点もフィードバックしたいと思います。
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