私は猫を飼いません。でも嫌いなわけではありません。
まず、本題に直接関係はないのですが、こんなツイートを見ました。
オランダにはペットショップがないし、ペットの飼い方のサイトにいくと動物が好きならペットを飼わないことが一番の動物愛護、どうしても欲しい場合はシェルターからもらうように。と、書いてあった。
— H. Suzuki (@lily_jp) 2015, 9月 29
「ペットを飼わないことが一番の動物愛護」
欧州の考え方は進んでいるなと感じます。
現在、我が家にはハムスターがいます。生き物を飼うのは子供のためにもよいという妻の考えです。確かに、動物を可愛がり、世話をして、命の大切さを感じ取ることは、子供が優しさを持って育つには大きな効果を持つでしょう。
私だってハムスターを見ていると可愛くてしようがないです。でも、「狭いところに閉じ込められて幸せなのかな」とか「本来はどんなふうに生きるのが幸せなのだろうか」と考えてしまいます。
私が猫を飼わないわけ
子供のころ、家には犬と猫がいました。エサをやったり、遊んだり。大好きでした。
あれは今から10年以上前、カナダから帰国し、職が見つからず、塾で講師のアルバイトをして実家で過ごしていた時のことです。
ひろう
5月の終わりか6月の初めくらいだったと思います。結婚して近所に住む妹が子猫を拾ってきました。とても小さく、痩せて、目は目やにでほとんど開いていないような状態でした。
妹は、子供の一人が猫アレルギーで、家に連れていけないけれど、ほっとけなかったので連れてきたのでした。実家でももろもろの事情があって飼うことはできません。結局、飼ってくれる人を探すことにし、その間は実家で私が面倒を見ることになりました。
実家には、母のミシン部屋、父の仕事スペースなど、外にいくつかの小屋が並んでいます。そのうちの一つの小屋の前で飼うことにしました。昼間は外、夜は小屋の中。
まずは汚れた体をきれいにし、つらそうな目やにをとりました。痩せているけれど、とても可愛い子猫でした。
ミルク
次に食事です。とはいえ、こんなに小さな子猫を自分で育てたことはありません。ペットショップに行って相談してみることにしました。小さいうちはミルクを注射針のない注射器で少しずつ口に入れてあげるのがよいとのこと。粉ミルクを一缶購入しました。
家に帰ると早速水に溶いて、注射器で口まで運びました。しかし、なかなか飲んでくれません。少しずつ、少しずつ、根気よく、あきらめず。すると、少しずつ飲んでくれるようになりました。うれしくてたまらなかったことを記憶しています。
しばらくしてまたペットショップへ行きました。ミルクのままでいいのか、固形食にすべきなのか。で、離乳食を少しずつ食べさせるようになりました。
食べる
最初は自分の指に離乳食をつけて、鼻や口の近くに持っていき、興味をさそうようにします。なかなか食いついてはくれませんでした。やはり根気。徐々に食べてくれるようになります。そうなるとまたかわいさが増します。
ミルクと固形食をがんばって食べてくれたため、少しずつ元気になっていきました。
そうこうしながらも、飼ってくれる人を探さなければいけません。
さがす(1)
実家のすぐ隣は小学校です。とある日曜日、学校でPTA作業があり、保護者達が集まっていました。
妹と私は解散のあいさつを見計らって、子猫がいます、飼って頂けませんか、と保護者達の前で尋ねました。急にそんなことを聞かれても困るのでしょう、反応はなく、妹と二人、とぼとぼと実家に戻りました。
それから数日でしょうか、父の職場で飼ってくれるという人が現れました。猫好きとのことでした。ほっとしたのと同時に、少しさみしくもありました。でも、子猫のことを思えば喜んであげなければいけません。数日で引き渡すこととなりました。
その頃、6月ということもあり、雨が降る日が多くなっていました。
さがす(2)
ある日、いつものように子猫とたわむれようと(いつのまにか日課となっていました)小屋の前に行くと姿が見えません。台風ほどではありませんが、少し強めに雨が降っていました。
まず考えたのは、子供が連れて行ってしまったのでは、ということ。小学校のすぐ隣で、通学路でもあり、出入りもしやすい庭だったため、もしかしたらと思いました。でも、少し前まで捨て猫。誰にでもなついたりしないかもしれないとも考えられました。
もし一人でふらふらと歩いて行ったのだとしたら、それほど遠くへ行ってはいないはず。とにかく近所を探し回りました。傘をさして歩き回りました。
考えられる範囲は探しましたが見当たりません。あと考えられたのは、考えたくありませんでしたが、側溝に落ちて流されたのでは、ということでした。
実家と小学校の境目には石垣があり、家が学校より一段高い位置にあります。石垣の下は側溝。雨が降っていたので、側溝とはいえそれなりの流れがありました。小さな子猫では流される程度です。
側溝沿いにも探しました。でもそんなところでは見つかってほしくない。そう思いながら、でも見つからないのも悲しい。
いくら探しても見つからず、それから何日しても姿を現すことはありませんでした。
後悔
雨が降っていたあの日、朝ごはんをあげた後も小屋に入れておけば、いなくなることはなかったかもしれません。
あと少しで、猫好きな人にもらわれていくことができたのに。その人にもらわれていけば、また会いに行くこともできたのに。
別の猫を飼うことはこの子に悪いな、と感じます。私にはこの子が一番かわいいのです。
想い出
子猫を飼っている間、一日だけ写真を撮りました。ファイルのタイムスタンプを見ると6月11日。梅雨です。そのうちのいくつかをアップします。
短い間でしたが、こんなふうに、とてもなついてくれていました。
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