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翻訳とWeb制作を基礎から分かりやすく学ぶ

恐れるべきは機械翻訳の質向上か買う側の質低下か

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技術の進歩。機械翻訳の進歩(一応)。それを買う側の進歩……はどうでしょうか。

機械翻訳の性能が向上したと言われています。翻訳者は機械翻訳に仕事を奪われるという話もずいぶん前からささやかれています。実際のところ、分野や翻訳する対象の特性や求められる品質によっては機械翻訳が導入されやすいものもあるでしょう。原文言語と訳文言語の文法ルールなどの特徴も、機械翻訳の出力が実用に耐えられるかどうかのポイントになるでしょう。

しかし、エージェントでソースクライアント企業の様子などをちらちら見ていて、最近感じる恐怖は機械翻訳の質向上ではありません。わたしが怖いと感じているのは翻訳を買う側の人の意識や質です。

何年もの間、特にCATツール(翻訳支援ツール)が出現してから、翻訳価格の低下(あるいは価格破壊)が進みました。当然かもしれませんが、CATツールを売り込む側は主に良いことしか言いません。早くて安くて品質も維持できますよ、と。この品質というのは主にスタイルや用語の統一のことです。訳文の読みやすさ、つまりいかに流暢な訳文を出力できるか、その点は話題にしないよう避けられてきたのではないでしょうか。

それでも、CATツールのそんな売り文句を聞いたソースクライアントや翻訳ベンダーは飛びついたことでしょう。ツールにほれ込んで飛びついたか、時代の流れに乗り遅れてはいけないと、あるいは他社に後れを取るわけには行けないと導入したか、動機はさまざまでしょうが、利用者がどんどん増えていったことは今の浸透している状況を見れば想像に難くありません。

そして今度は機械翻訳です。さすがにCATツールの時よりはソースクライアントも翻訳ベンダーも慎重になっていると感じます。ただし、安ければよい、価格だけで購入先を決める、そんなソースクライアントが増えているような気がするのも否めません。気持ちが機械翻訳に傾くのも、もしかしたら時間の問題かもしれません。そのとき、ソースクライアントが訳文の品質を気に掛けるとも思えません。

そうして言葉がどんどん蔑ろにされ、それを良しとして読む人間の知能もどんどん低下していくのではないかと不安になります。政治家がまともな言葉を話せず破壊する。そして企業も言葉を蔑ろにする。そんな政治家を見、そんな企業から製品を購入する消費者もそんな言葉に慣れていく。怖い循環です。折角翻訳に携わることができるようになった身として、少しでも正しい言葉を残すことができるよう、学習し、正しい言葉を書いていかなければいけませんね。


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