Com2 Blog

翻訳とWeb制作を基礎から分かりやすく学ぶ

翻訳品質ってどの口が言う?

look-whos-talking

政界では、自らが発端となった問題について無責任に、また他人事のように「なぜこんな問題が起こったのか」「徹底的に明らかに」「二度と起こらないよう」などと言う人たちがいます。事の大小はあれど、社会ではこのようなことがよく見受けられます。

わたしがMLVっぽいエージェントの世界に足を踏み入れて10余年。クライアントは安くしろと求め続け、その要求をMLVはどうにかして受け入れ続けてしまい、翻訳会社もMLVから安くするよう求められ続け、翻訳者は同じ成果物を安価で提供するように求められ続けてきました。

ここでちょっと考えていただきたいのです。翻訳品質はどこで決まるのでしょうか。クライアントでしょうか、MLVでしょうか、翻訳会社でしょうか。どれでもありません。翻訳品質は9割方翻訳者の仕事で決まります。ところが、その翻訳者に価格低下のほとんどのしわ寄せがいくわけです。

ここ10年20年で翻訳の仕事が劇的に楽になったとか、どういうわけか翻訳者の品質が押し並べて低下しているとか、それをクライアントが押し付けられているとか、他の選択肢ができてそれが文句のつけようがないほど素晴らしいとか、そういう事情があるのであれば致し方ないでしょう。でもそうは思えません。

クライアントと話していても、エージェントの中で話していても、翻訳品質がどうだとかこうだとか、そんな言葉が聞こえてくることがあります。心の中では「どの口が言う?」と思っています。わたしも価格破壊を止めることも、止めるために効果的な抵抗もできなかった身ですので、こんなことを言うのも心苦しいのですが。

憤りを覚えるのは、そういうことを言う人たちはたいてい翻訳の品質とは何か、そのためには何が必要なのか、そんなことまったくわかっておらず、また真剣に考えようともしていないためです。わかっていたら、真剣に考えていたら、何が問題か多少なりとも思い至っているはずです。

思うのは、翻訳の現場や翻訳をする人からの距離と比例して、無責任の度合いを強めているということです。翻訳者は翻訳という仕事の苦労を当然わかっています。翻訳会社(SLV)も翻訳の苦労をわかっているでしょう(わかっていてほしい)。MLVとなると、翻訳の品質などということに本当に関心があるところはかなり減るのではないでしょうか。クライアントは言わずもがな。

そんなわけで、単価を下げ続けてきたクライアントとの会話でも、それを受け入れてきたMLV内の会話でも、その口から翻訳品質がどうだの言う言葉を聞いたら卒倒してしまいそうになります。そう、某エージェントにて卒倒し過ぎて死にそうになっています。


コメント

コメントを残す