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翻訳とWeb制作を基礎から分かりやすく学ぶ

人の翻訳と比べてみた

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昨年のことです。同じ原文に対する複数の翻訳者さんによる訳文を見る機会がありました。仕事のことなので詳しくは書けませんし、原文も訳文も例示できません。漠然とした内容ですが感じたこと、思ったことを書きます。

とある英文(200から300ワード程度)に対する翻訳者さんたちの訳文、さらに自分の訳文、合わせて3つの訳文を比較する機会がありました。産業翻訳です。文書は読みやすさを求められるものでした。

3人をそれぞれAさん、Bさん、Cさんとします。

Aさんはその分野に高い知識を有しています。社内でも高い評判を誇っています。ただ、凡ミスがちょこちょこ入るのが玉に瑕といった印象をわたしは持っています。

Bさんには社内の別のコーディネーターが継続的に依頼しています。継続的に依頼するだけあって、信頼しているようです。わたしは詳しくは存じ上げていません。

Cさんは、わたしです。

まずAさんとBさんの訳文をちらっと見たときに、自分の翻訳はダメだと感じました。いくつか悩んだ箇所はありました。ぱっと見たときになぜか最後の段落に目がいったのですが、おふたりはそこを同じような構成で訳されていました。わたしの訳文は望ましいものではありませんでした。まずそこで落ち込みました。

つづいて、Aさんの訳文を最初から少しだけ見ました。やはり上手いなと感じました。原文を十分理解し、何をどう伝えるか分かって、日本語を書いていることが分かりました。

しばらくは打ちひしがれていました。

気を取り直して、自分の訳文の反省材料を整理しようと見直したのです。そうしたらびっくりしたことがありました。

 

Aさんは、最初と最後は良かったのですが、途中一段落気になるところがあったのです。少々長い文章でした。主語と述語がねじれるということはなかったのですが、中間がまどろっこしくて理解できない状態だったのです。読み返せば気づくところです。

先ほども書きましたが、Aさんは凡ミスが多い印象をわたしは持っています。もしかしてあまり見直しをしていなかったのではないか? と思いました。Aさんほどの方なら気づくはずですし、もっと明瞭な訳文を書けるはずです。

その他については、Aさんの訳文は小さな点を除いてほぼ問題ない出来だったと記憶しています。

 

Bさんは、最初から読んでみるとわたしとさほど変わらない出来でした。直訳調と感じられ、原文が透けて見えるようなところが思いのほか多かった点は、わたしより悪かったかもしれません。

さらに、全体を通してカタカナが多いことに驚きました。カタカナでも一般的なものもあったのですが、なぜこれをカタカナで処理したのだろうと疑問に思うものも多数ありました。

Bさんに向かない分野あるいは文書だったのかもしれません。社内のコーディネーターがどのようなものを継続的に依頼しているか分かりませんが、いつもはもう少し硬い文書が多いのではないかと推察します。

 

長い経験を持つ翻訳者さんでも、見直しを怠ると(推測です)このような訳文を納品してしまう、また不得意な分野や文書だと(推測です)このように直訳調になってしまうこともある、そんなことを感じる一件でした。

とはいえ、自分の訳文を並べたときにだめだと感じたことは事実です。原文の理解が不十分であり、絵を描けていない状態であったことは否定できません。時間的制約などを言い訳にすれば、そんな甘い自分には先がありません。

人の訳文と比較する機会など滅多にありません。よい機会を得たと思って、この失敗を糧に精進したいと思います。


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