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【翻訳を扱う会社から】クライアントは翻訳について無知でよいか

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多くの場合、ソースクライアントは翻訳のことも翻訳品質のことも知りません。当たり前かもしれません。でも知らなすぎることによって信じられないことをしてくれます。

クライアントは翻訳や翻訳品質について詳しく知る必要はありません。原稿や必要な材料(用語集、スタイルガイド、過去の訳例などなど)を提供してくれればそれだけで十分です。必要な材料や情報の提供がない場合もありますが、これは困ります。しかし、せっかく提供されても使い物にならない代物だと、やっぱり困ります。

実際にあった信じられない話

とある日英翻訳の依頼を受けたときのことです。最初に日本語原文Wordファイルだけが送られてきました。よくあることです。いつものように「用語集や過去の参考訳はありますか」と連絡。すると「用語集はないけど、過去の翻訳はあるので送りますね」とのこと。間もなく日英のファイルが送られてきました。

翻訳ボリュームはさほど大きくありませんでした。ざっと目を通したところ見慣れない技術用語が散見されました。いつもと毛色が違います。これでは翻訳者さんも困るだろうと、送られてきた過去の翻訳ファイルから用語集を作成しようと考えました。特定の用語に絞って作成しようと考えたため、数も多くなく、さほど大変な作業ではないはずでした。

ところが、用語集作成をお願いした同僚が、作業開始して間もなく私のところにやって来ました。どう見てもおかしな英語があるとのことです。例をお見せすることはできませんが、専門的なカタカナの用語がありえない英語になっていました。「私の知識が足りないのか、いや、どう考えてもそんな英単語が出てくるはずない」すぐにピンときました。

まず試したのはGoogle翻訳です。そのカタカナの用語をペーストしてみました。違いました。

もしかしたらと思い、Yahoo翻訳を試してみました。ビンゴ! 全く同じ結果が返ってきました。「おかしいぞ」と思い、当たり障りなさそうな文章をランダムに2~3文抜き打ちで試してみました。どれも参考訳例と100%一致します。すぐさまクライアントに報告です。びっくりされていました。

どうやら、別の部署が作成したものらしく、背景はご存じない様子でした。社内で回ってきたものなので疑うことなく参考訳としてご提供頂いたとのこと。同情すらしました。その意味不明な英訳が実際に外に出ていたのかどうかは未だに不明です。

無知は罪なり、っていうか

「無知は罪なり」と言いますが、それよりとにかくびっくりでした。Yahoo翻訳を疑いもなく使う人がクライアントの中とはいえいるとはにわかに信じがたいことでした。社内の英文メール程度であれば構わないのですが。

恐らくその英訳文書を作成したのはそのクライアントの開発担当などの技術者だと思われます。自分が日本語で文書を作成し、その英訳が必要となり、周りに英訳をできる人がいないから「じゃあYahoo翻訳でいいか」と安易に考えたのではないでしょうか。

翻訳に関わる人であれば、誤訳のないことなどは当たり前で、ターゲット言語としての自然さや読みやすさも追及するでしょう。しかし、誤訳という概念すら持っていないと、このような機械翻訳サービスを何の疑いもなく使ってしまうこともあるのかもしれません。

クライアントは翻訳業務や翻訳品質に詳しくある必要はないかもしれません。しかし、まったくの無知であることは問題でしょう。


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