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【翻訳を扱う会社から】100%マッチの扱いから思うこと

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ソースクライアントもエージェントも、CATツールに使われていますよね。100%マッチの扱いからもよく分かります。よい訳文を作るとか関係ないですから。このままだと、とんでもないことにもなりかねませんよ。

「安く作る」これが最重要課題なのでしょうか。「よいものを作る」ではないんですよね。

CATツール

日本のメーカーさんが取扱説明書を作るとき、「日本語→英語→多言語」というのはよくある展開手順です。ここで、エージェントが翻訳に関わるタイミングは2回あります。日英翻訳と英語からの多言語翻訳です。いずれも多くの場合CATツールを使います。ご存じの通り、Perfect MatchやExact Match(100%マッチ)、またファジーマッチやノーマッチという流用率のアレです。

Perfect Matchは基本的に保護されるため翻訳者の作業対象外となります。中には100%マッチも変更不可というクライアントもいらっしゃいます。本当に良いのかな、クライアントは100%マッチがどういうものかご存じなのだろうか、といつも疑問に思いながら翻訳者さんにもその旨お伝えします。

Perfect Matchと100%マッチ

それなりに詳しい方であれば、Perfect Matchと100%マッチの違いはご存じかと思います。

Perfect Matchは、文の前後も一致しているものについて処理されます(段落単位で処理されたりするはず)。過去の案件で文章として通して読んで確認されているため、流用した案件では確認すら不要と考えられています。

100%マッチはこれと違い、あくまで文章単位、あるいは分節単位で流用されます。つまり、文や分節としては過去の案件からの流用ですが、前後関係までは考慮されないため、翻訳段階で確認し、適宜修正すべきものです。

100%マッチも変更不可。だってコストがかかるんだもん

では、クライアントはその違いを知らないのでしょうか。まあ仮に知っていたとしても100%マッチは変更不可となるでしょう。これには、コストの問題が関係しています。多言語翻訳の費用を抑えるためなのです。

日英翻訳で、100%マッチを変更しなければ、多言語翻訳でも100%マッチになります。日英翻訳で訳文として品質を高めようと100%マッチに手を加えれば、多言語翻訳においてもマッチ率が低下し、同じく手を加える必要が発生します。その分費用が発生するわけです。しかも展開する言語数分です。

もちろん、クライアントはモノを作って売り、利益を上げなければなりません。モノを作るのにお金に糸目をつけないなどということはありえません。無駄な出費は抑えるべきでしょうし、安く作る努力は当然必要です。しかし、必要な部分まで削られているように思えます。

まあ、多少ぎこちない取扱説明書でも、わざわざクレームをつける人はそうはいないでしょう。少なくとも日本以外では。語尾活用が変でも、文のつながりがおかしくても、言っていることが分かれば文句は言わないかもしれません。でも、そんなぎこちないものがどんどん蓄積され、どんどんおかしくなっていきます。

でも、そんな考えだとこの後・・・

「細かいところは気にする必要ない。とにかくツールをうまく使えばいい。翻訳期間は短くなるし、費用も抑えられるでしょ。」こんな具合に、翻訳品質に対する意識が疎かになっていると感じます。

文芸ではないので、凝った訳文にする必要はありません。でも引っ掛かりのあるような訳文は、エンドユーザーにとってもストレスになるはずです。エンドユーザーの利便よりコスト優先なのでしょうか。

あまり翻訳品質を軽んじて、ツールに使われていると、クロス○ンゲージや高○社の餌食になりますよ。クライアントがそれでもよいのであれば、やむを得ませんが。そのうち取扱説明書を読んで笑える日がやって来るかもしれません。ただし、ありえない誤訳で誤操作を招き、訴訟に発展しないことを祈ります。


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