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翻訳とWeb制作を基礎から分かりやすく学ぶ

素人に英訳させる=ユーザーをなめている

end-user-suffers

何度か書いてきましたが、素人に日英翻訳させる日本のクライアントがいます。その英文を翻訳会社にプルーフさせるわけです。素人に英訳させた段階で、エンドユーザーのことは頭にないですよね? 良い製品を作ろうなんて考えてないですよね?

以降、ソフトウェアUI文字列を例に話を進めます。

「開発日程がない。仕様が全然固まらない。バラバラ出せば無駄にお金がかかる。だから翻訳会社に出せない。しょうがないから(クライアント社内の)身近にいる人に翻訳してもらおう。」NO! 日本人で少し英語ができる程度の素人に英訳をさせてはいけません。親しい友人へのメールを訳してもらう程度なら良いでしょう。でも製品として世に出すものは絶対にダメです。

いったん製品が世に出てしまってから、開発日程を理由にして「日程が厳しかったんですよ。隣の席にちょっと英語ができる日本人がいたのでその人に訳してもらいました。まあ、おかしなUIになりましたけどね。おまけに取説も意味不明になりました。仕方ないですよね、日程がなかったんだから。私たちは何も悪くありません。」とユーザーに言えるのでしょうか。

ちなみに、ここでちょっと英語ができる程度とは、英辞郎などで最初に出てくる日本語を使ってしまうような人のことを言っています。例えば「対応OS」とあれば「対応」を英辞郎で調べ、最初に「Correspondence」と出てきたので、それを形容詞にすればいいやと「Correspondent OS」としてしまうような人です。

結局、品質レベルの低い英語UI文字列が出来上がったとします。それを原文として多言語への翻訳が始まります。適切に訳されるとは思えません。意味の取り違えや訳語選択の間違いなどは起こって当たり前です。すでに日英翻訳で間違いもあるでしょうけれども。いずれにせよ、翻訳者の皆さんもかわいそうです。そんな意味不明な仕事をさせられて。

ここで、日本のクライアントは多言語翻訳したUIを使う世界各国のユーザーのことなど当然のように考えていないと思われます。そう、当然です。ソフトウェアを英語UIで使うユーザーのことすら考えていないのですから、販売するためには各国のUIが必要、だから翻訳展開した、それだけだと思われます。

本当に良いものを作ろうとか、ユーザーにとって使いやすいものを作ろうとか考えるのであれば、大日程を決定する段階で開発から翻訳まで全ての項目を念頭に置いて検討すべきです。恐らくこの段階では、翻訳は全く考慮されていないのでしょう。

クライアントの中には、ユーザーのことを真剣に考えている方もいらっしゃいます。しかし、そうでない方もいらっしゃいます。そんな方がやっつけで作ったものなんて、ユーザーに届ける価値もありません。最初から作らなければよいのです。それでもゴミのようなものをつくるのであれば、ユーザーから見ればそんな会社はいらないのです。

まとめ「クライアント様へ」

クライアントの担当者が日程がないからといって隣の席の素人に英訳させると、結果として日程をさらに圧迫して、費用もかかって、品質もひどいものになります。ユーザーにとってもクライアントにとってもいいことなんてありません。絶対に安易に考えてはいけないんです。

どうしても隣の席の素人に訳してもらわなければいけない状況に陥ったら、ユーザーの存在を思い浮かべてください。それでも素人に英訳してもらって構わないと思うようであれば、そこまでユーザーをなめているようであれば、今すぐ辞めてください。

製品開発の一番の上流にいるクライアント、そこで適当なことをすれば、下流に流れる間にさらに悪くなることはあっても、よくなることはありません。変に期待しないでください。翻訳者や翻訳会社に無理な期待をしないでください。

クライアント内にも、良いものを作ろうとして一生懸命努力している方もいます。そういう方の足を引っ張らないでください。

それでも「ユーザーなんて関係ない」「ユーザーのことなんて知るか」と思うようであれば、本当に消えてください。一生懸命やっている人たちも同じ会社にいれば、同じ評価になってしまいます。翻訳者も翻訳会社もユーザーも迷惑するんです。本当に勘弁してください。


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