Com2 Blog

翻訳とWeb制作を基礎から分かりやすく学ぶ

クラウド翻訳サービスってどうなの? 個人的感想

people

クラウド翻訳サービス。誰でも気軽に依頼できれば翻訳もできる。私も以前少しだけしたことがあります。翻訳を始めるきっかけが欲しかったのと、勉強になればと思ったのですが。でもね。

前もって書いておきますが、クラウドソーシング自体を否定するつもりはありません。それなりに意味もあると思います。ただ、ある種の危険性もはらんでいると考えています。その辺は後ほど。

また、私が利用していたのは少し前です。ここ2~3年で状況は変わっているかもしれませんので、下記情報は少し古い可能性があります。その点ご了承ください。

クラウド翻訳サービスの存在を知ったのは『翻訳事典2012年度版』。「こんなのもあるんだ」と始めてみました。とにかくきっかけが欲しかったんです。

まず最初に登録したのは「Conyac」です。2012年1月に発売された上記翻訳事典で知り、2012年6月に登録しました。報酬は内職といったところ。

次に、とある通信講座でそれなりの結果で終了できた場合の特典で「YAQS」に登録されました。成績が良ければ、その通信講座を行っている会社の翻訳部門に推薦されるとのことでした。つまり、この時はそれなりの成績だったわけです。

YAQSはコニャックと比べて多少は報酬がよいと思われます。とはいえ、やはり内職です。ときどき2,000円とか3,000円とかの案件がありますが、1,000ワードとか2,000ワードです。それなりの時間をかけてこの報酬ですから、家にいて、時間があって、じゃあやってみるか、という状況でないとなかなかできないでしょう。まともに仕事として考えたら当然ですが割に合いません。

次に「Gengo」にも登録してみました。よくまあ懲りもせず、と自分でも思います。報酬面ではYAQSに近いかもしれません。このころになると、いい加減、クラウドソーシングに疑問を感じ始めていたため、ほとんど利用していません。

3つも登録したクラウドソーシング、ここずっと手を付けておらず、もうするつもりもありませんが、今まで自分でやってみた中で分かっていること、感じたことなどを簡単に書いてみます。

翻訳者のレベルとお金のこと

たいていのサービスでは、トライアルやテストのようなものでレベルを判定する機会があります。素人レベルでも登録されることは可能です。

サービス各社やそれぞれの中で設定されているランクによっても異なりますが、基本的には内職です。1ワード1円足らずであったり1円強程度のものも当然のようにありました。(今でも状況は変わっているとは思えません。大抵世の報酬と言うものは、下がることはあっても上がることはありませんからね。)

そんなに頻繁にはやっていられない

本職の翻訳者の方はこのようなクラウドソーシングに手を出すことはないと思います。とても生活できる報酬は得られませんから。

会社員の場合それほど頻繁にはできないでしょう。日本の会社では残業も当たり前でしょうし、平日はなかなか時間がとれません。休日だって休みたいでしょうし。私の場合も、ときどき気が向いたらやって、でまたやらなくなったり、そんな程度でした。

専業で主婦・主夫をされている方にとってはどうか分かりません。「翻訳に興味があって、そんなにがっつり働けないけど、少しの空き時間に何かしたい。」そんな方には向いている、というかそういう方のためのサービスかもしれません。もしくは学生さんにはよいのかもしれません。

フィードバックはあるのか

フィードバックのシステムはあります。私もフィードバックを頂いたことも、また他人の訳文にフィードバックしたこともあります。基本的には訳文に対して「ここはこうした方がよいのでは?」とか、「勉強になりました」というコメントを受けました。

人によっては、ただ教えてあげればよいことを、自分の生活で受けたストレスのはけ口のような書き方をする人もいます。SNSと同じですね。そんな時は指摘内容だけ見て、後は無視をする必要があります。

依頼者からコメントを頂くこともあります。「助かりました」「分かりやすく訳して頂きありがとうございました」「また機会があればお願いいたします」など。YAQSで一度リピーターのご依頼を頂きました。こういったコメントや再依頼は安くてもうれしかったですし、励みになりました。

嫌な思い

品質に関係なくいやな思いをしたことがあります。
納期の時間設定が1時間30分ほどの依頼でした。開始してから30分くらいから催促のコメントが入ったのです。

「まだでしょうか?」

「どのくらいに仕上がりますか?」

「そこまで長い文章でないですが、すでに1時間が経過していますが・・・何分というよりも何時間かかるのでしょうか?」

コメントが入る度どんどん評価を下げられました。もちろん納期前にはアップしました。さすがに理不尽なコメントだったため運営会社に連絡しました。「弊社社内評価には影響がありませんので、ご安心をいただければと存じます。」との回答をいただきました。しかし、こんなタダ同然のサービスでも、理不尽な要求をする人がいるということですね。ある意味いい勉強になりました。

クラウドソーシングの懸念、考えられる影響

報酬は少なくても、素人の翻訳であっても、需要と供給がマッチすれば問題ないとは思います。「メールを訳してほしいけど、個人的なものだしお金をかけられない」などの状況であれば、訳文の質はさほど気にされないでしょう。

また、「社内資料で訳文としての質や読みやすさにはこだわらない、安くて早い方がいい」という方もいらっしゃるでしょう。もっとも、個人的なものでない限りは注意が必要です。某クラウドソーシングのLで守秘義務が問題になったことがありましたね。

しかし、需要と供給のマッチだけでは終わらないかもしれません。

例えば、安いクラウド翻訳と、高いけれど技術を持ったプロの違いを理解しない人というのは必ず出てきます。実際にエージェントに勤めている中でクライアントの依頼や、提供される原文やプルーフ原稿など見ていると、翻訳を知らない、あるいは素人とプロの違いを分かっていない、と感じることは多々あります。

翻訳のことを理解していないということは、翻訳の品質についても理解していない、つまり安ければ安い方がよいという安易な考えを持ちやすいと考えられるのです。

このようなことから、クラウドソーシングというものは、翻訳に限らず、依頼側の価値観によって不用意に価格破壊を招く危険性があると感じるのです。

要するに、どんな道具でもどんなサービスでも、使い方一つなのです。さまざまな需要に合わせてさまざまな形態や料金のサービスが発生します。しかし、なぜそのような形態や料金なのか、理解しないまま、あるいは自分の都合の良いように解釈して、誤った方向に流れていくことはあると思います。

クラウド翻訳について言えば、翻訳に興味のある人の導入として役立つ範囲でとどまってくれればよいなと、不用意な価格破壊は招いてくれなければよいなと、無駄とも思える希望を持って、この記事を締めたいと思います。


コメント

コメントを残す