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翻訳とWeb制作を基礎から分かりやすく学ぶ

クライアントに伝えるCATツールのこと

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この春から秋にかけて、いくつかのクライアントと翻訳業務について打ち合わせを持つ機会がありました。この先もまだありそうです。そんなときに私が個人的にとる姿勢があります。CATツールの長所も短所も伝えるということです。

私がエージェント(っぽい)の現職に就いたのは10年と少し前。当時Trados 6.5が使われていたと記憶しています。ソースクライアントの中では翻訳支援ツールというものが広まりつつあり、当然のように「翻訳期間短縮」「コスト削減」という良い面(良いと考えられているだけの面)だけが独り歩きしていたように思います。

何年もお付き合いのあるクライアントでも、まずは自分たちの仕事があるわけで、翻訳について過去に説明申し上げたことをすべて覚えていてくださり活かされているということはありません。会うたびに説明申し上げます。

翻訳というのは言葉を知っていればできるほど単純なものではないこと。クライアントの協力、エージェントのコーディネーション、そして翻訳者の3つがそろって初めてよい結果が得られる。そのためには必要な材料もあれば、期間を確保することも必要。そしてまず理解が必要。

幸いにも、私のクライアントは真摯に聞いてくださる方が多いので、こちらも熱がこもってしまいます。何度も繰り返し説明している内容もありますが苦になりません。

CATツール初心者のクライアント

先日、新規のクライアントとの打ち合わせに参加する機会がありました。「Tradosというものがあると聞いた。利用したい」「Trados Studio 2015を購入したのでいろいろ聞きたい」というような話を事前に伺っていました。

さて一通り業務の打ち合わせが終わったところで、ご質問をいただき説明申し上げるというような時間、長所も短所もお伝えしました。

「取説のような文書であれば、同じ文章の繰り返しは多く、また前後の文章の関係性を考慮する必要性が比較的低い。そのような場合には翻訳支援ツールの効果は見込めるでしょう」

「ただし、間違いが混入すると、それがそのまま流用されるというリスクがある。もちろん翻訳会社は間違いがないように努めるが、残念ながら100%完璧は困難。そのためには定期的なメンテナンスが必要。現実的にはお金と時間をかけてメンテナンスされるお客様は少ないと感じている」

このような感じで自分の持っているもので、必要と感じることはできるだけお伝えするよう心がけています。出し惜しみしても仕方ありません。ご理解いただくことが自分たちのため、また翻訳業務のためになるのです。

CATツールを社内の翻訳で使用されるクライアント

打ち合わせに、最近SDL Trados Studio 2015を購入された部署の方が同席されていました。エージェントに仕事を出すというのではなく、社内文書の翻訳を自分たちで行う際使用されるとのことでした。

ここでも、Tradosを使用されることになる目の前のクライアントのためにと思い、やはり自分の持っているものをお伝えしました。

「翻訳支援ツールは基本的に文章単位で判定し、流用する。ツールを使うことで翻訳時間を短縮できるかもしれないが、読ませる文書、読みやすさを求められる文書については正直適さない。統一性や時間短縮で使うのも手ではあるが、必ず全体を通して見直すことをお勧めする」

目の前のお客様はこの先Tradosを使用される。ツールを使ったことで翻訳の仕上がりが悪くなり、社内とはいえ文句をつけられたら悲しくなるでしょう。どういう面では便利で、どこを気を付けないとマイナスの影響が出るか、理解したうえで使う。ツールを使う上で考えるべきことです。

ツールについて必要な知識をお伝えしているだけですが、その先にある翻訳という業務についての理解を少しでも深められたら幸いと思い、今後も打ち合わせに向かいます。


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